17日目(2019.12.5)

昨夜は松本大師堂横の空き地にテントを張って眠った。墓地のすぐ近くであり、あかりの無い畑を横切って、電気の点かない真っ暗な汲み取り式トイレに行くのは、私にとって恐怖であった。なので、尿意を催すたびに夫を誘った。夫が起きていようと寝ていようと、私には全く関係ない。とにかく怖いので必ず起こす。夫は毎回、とても迷惑がっていたが、結婚生活に弊害は付き物である。

そういうわけで、松本大師堂横のテントで無事に朝を迎えることができて、2人ともホッとした。

朝御飯を食べたあとテントをたたみ、7時前に出発した。

国分川沿いの堤防を歩いていると、カモが沢山泳いでいて、まるでスーパー銭湯のようだった。

銭湯か……。昨日も一昨日もお風呂に入ってないから、そろそろ入りたいなぁ…洗濯物も溜まってるしなぁ…だいたい汚れ物をリュックに入れて背負ってて、それが重いとかメッチャ切ないわー、などと考えながら、どんどん歩く。

遍路道の案内板通りに歩いていたら、田んぼの畦道に案内されたので、農家さんに遠慮しつつ歩く。

29番土佐国分寺、30番善楽寺を順調に打った後、31番竹林寺を目指して歩いている途中「高知ぽかぽか温泉」という看板が目に入った。ぽかぽかになりたい!( ;∀;) 急に足が止まった。携帯で入浴料とコインランドリーの有無を調べる。入浴料は妥当、コインランドリーも有る。「私、昨日も今日も肩が凝って、腰が痛いんだけど、多分入浴してないせいだと思うの。」とゴネて、夫をなかば強引に高知ぽかぽか温泉に連れ込む。

いやー、マッサージ泡風呂、最高。お昼に久しぶりのトーストも食べた。コインランドリーで汚れ物もキレイになった。

清潔の欲求が満たされたあとは、高知mont-bellに寄る。遍路中に壊れたスプーンと箸、これからに備えて暖かそうな靴下を買った。食糧ではない物を買ったのは久しぶりだ。買い物の欲求も満たされた。これで心おきなく遍路を続けられる。

温泉とmont-bellで合わせて、時間を約2時間半、お金を約15000円遣ったので、今後の予定は、早足で31番寺32番寺で納経し、無料キャンプ場を目指す。

急いで歩き31番竹林寺に到着後、納経を終えたのは15時半だった。徒歩遍路ガイドブックによると次の32番寺までの距離は5.7km。移動時間の目安は1時間半と書かれている。 1時間半⁈ 今15時半だから到着予定は17時⁈ これはマズイ。 どこのお寺の納経所も17時ピッタリに人が居なくなるから、最低でも5分前に到着しないと、墨書きと朱印はいただけない。

私達初老夫婦にとって、ガイドブックに書かれている移動時間目安よりも5分早く歩くという目標は、大変なプレッシャーであるが、とにかく、やってみようという事になった。

と、言っても、歩くのが遅いのは私だけで、夫は17kgのリュックを背負っていながら、なかなかの速さで歩く。お互い言葉少なに、ひたすら、どんどん歩いた。途中、犬の散歩をしていたオジサンが「あんたら、32番に行くなら、そっち側の道に行った方が距離が短くていいよ。」と教えてくれた。私達の表情がセッパ詰まっていたのかもしれない。シンプルな言葉で的確な情報を聞けて有り難かった。オジサンの教えてくれた道は確かにカーブが少なく、距離が短くて済んだ。どんどん歩く。そして16時半。このまま私の歩くペースで行ったら多分間に合わない。先に行ってくれるよう夫に頼んだ。「分かった。道に迷わず、付いてこいよ。」の言葉を残し、夫は32番寺を目指してズンズン進んでいった。非常に頼もしい。私もできるだけのスピードで跡を追う。「禅師峰寺まであと0.6km」の標識から、とんでもなく急な山道になった。32番禅師峰寺が山の頂上に見える。どうしてこう、四国のお寺は山の頂上に位置している事が多いのか。恨めしい気持ちで山の中腹まで来た16時57分、夫から私に電話あり「今、墨書きと朱印をもらったよ。上で待ってるからな。」との事。 ありがとうございます! 素晴らしい身体能力! 助かりました! 心が軽くなったのを感じながら私も急な山道を登りきり、薄暗い中2人で声を合わせて、本堂と大師堂で読経した。

その後、真っ暗な国道を歩いて19時、無料キャンプ場に到着。無事テントを張ることができた。

今日は色々と大変な1日だったが、計画通りやり切った満足感、充足感があるので、寝袋の中でもグッスリ眠れそうである。

松本大師堂→29番土佐国分寺→30番善楽寺→高知ぽかぽか温泉→mont-bell→31番竹林寺→32番禅師峰寺→種崎千松公園

本日の歩行距離  約 31.5km

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